YOSHITO ISHII:ROTRINGER'S DIARY

日日是匍匐:時時跳躍

中国絵画・日本絵画

鄭乃珖

鄭乃珖(郑乃珖) 民国期から現代にかけて活躍した人です。 非常にユニークな画家で、 工筆画ですが溌墨を使いまくる。 描くモチーフもイセエビやカブトガニなどの甲殻類、貝類、魚や野菜、 鶏肉(生きている鶏ではない)、つまり食材をやたらと描く人。 殷周の…

于非闇ふたたび

中国近現代画家・于非闇画集 薄い画集だけでは飽き足らず、淘宝にて購入してしまいました。 やはり良い作家です、が、明らかに実験的な作品も。 こういう人にも試行錯誤があったのかなと、ちょっと身近に感じます。 若い頃は山水画も描いていますが後年は専…

陳少梅

陳少梅(陈少梅)絵画全集 この人も民国期の画家です。 1909年生まれで太宰と同い年。 南方らしい、端正な筆致と階調。 中国の画家にとって古典の模写は欠かせないそうですが、 この時代は革命のごたごたで故宮の宝物は四川に移され、 観ることができませんで…

喩継高

喩継高画集 彼の画風は率直に言って特徴が捉えにくかったのですが, かなり水彩寄りの工筆画、という印象を受けます。 枝を描く時に輪郭線を描かず没骨や溌墨で表現しています。 線を節約した,水彩に近い表現。 よく観ると蓮の葉一枚一枚にまで溌墨法で描か…

南宋四大家絵画精品集

南宋の四大家と呼ばれる画家たちの作品集。 李唐・劉松年・馬遠・夏圭。 北宋南宋通じて宋代の水墨画は中国絵画の原点と呼ばれ、 崇拝に近い扱いを受けているようです。 中国の古典絵画は各絵師ごとの作品集を出せるほど作品が現存していないため、 抱き合わ…

現代工筆画・高茜

画境・高茜工笔花鸟画探微 いかにも工筆画の新世代といった風情。 余白の多い構図とシンプルなモチーフ・静謐で淡い色彩に、少し性愛の香りが漂う。 この「画境」シリーズ、若い作家を扱っていていいんだけど、 版の大きさ(B4くらいある)に対して超薄いので、…

陳洪綬

陳洪綬(陈洪绶) 工筆画のつもりで購入したら、 豈はからんや文人画でした。 花鳥はともかく、人物画のこのユルさ。 でもちょっとアウトサイダーアートっぽくて、 線ものびやか。白隠にもちょっと似ています。 いい味わいがあります。 ご本人は画工としてしか…

現代工筆画・蘇小松

蘇小松(苏小松) suxiaosong.artron.net twgreatdaily.com 自筆のサイン入りでした。根源師傳淑心、かな。 1964年生まれ、生粋の上海人。 新海派(新海上画派)の領袖、などと紹介されています。 清末に新興都市の上海を中心に出てきた芸術潮流を海上画派とい…

現代工筆画・沈寧

沈寧(沈宁) 全て絹本着色。超絶的に巧いのは勿論ですが問題は内容です。 穏当な作品の影に、かなり性的な作品も(検索すると百合まで出てくる)。 観る人によってはちょっと嫌悪感を催しそうな作品も。 描かれた動物たちは性的な欲望の象徴でしょう。 驚くべ…

浙派両頭

袁派の次は浙派。 明代の職業画家中心の画派です。 戴進・呉偉。これもいい。 どこの国でも時代が降るにつれて 技術はより洗練され、成熟を観ます。 それと引き換えに黎明期の新鮮さや素朴さは失われる。 日本でも江戸より室町の水墨画の方が あっさり目で質…

袁派両頭

清代の画家 袁江・袁耀の画集 袁派です。 明の浙派・清の袁派。 袁派とは清の時代に江南の揚州で活躍した、袁氏一族を中心とした画派です。 見ての通り、宋代の宮廷絵画・院体画(李郭派)のスタイルを引き継ぐ 正統的で緻密な筆致ながら、ダイナミックな作…

郎世寧・仙蕚長春図

郎世寧の仙蕚長春図です。 書籍というよりほとんど冊子。 横長の紙に印刷されて織り込まれている装丁です。 例によって乾隆帝の印がでかでかと押されています。 故宮博物院あるある。

陳之佛・于非闇

陳之佛と于非闇の画集を購入。 どちらも民国期の画家。 特にこの于非闇の作風が、 ベースは工筆画(中国絵画における緻密に描く技法)ですが、 南画あり水墨あり郎世寧風の陰影描写ありで幅広い。 そして賛が全て痩金体。これが超かっこいい。 この人の美意…

最近購入した美術書籍・その14

別冊太陽・岩佐又兵衛 ヴォルフガング・ライプ 藤林叡三 エイドリアン・ガーニー 岡原大崋氏の著作数点 岡原氏の著作は指導書ばかりでご本人の作品集がありません。 ネット上のインタビューなど拝見しますと どうやら後進の育成に力を注いでおられるようで …

旅する日本画 士農力作品集

kanabee.com まず名前がユニークだ。 この人の名前で検索すると農業関係の記事も一緒に出てくる。 暗い下地に白い線(多分日本画の胡粉であろう)でビル群を描いています。 「旅する」と題していますが、率直に言って 各都市の個性や喧噪は作品からは殆ど感…

最近購入した美術書籍・その13

久々にまとめ買いしました。 直接的に自作に影響せずとも、インプットが必要です。 欲するものがあります。 現代彫刻アンソロジー 旅する日本画 士農力作品集 別冊太陽 雪舟決定版 日本美術の底力

初夏の東京 ART TOUR 2019 その1

めぼしい展覧会が重なったので上京。 今回上京にあたり、初めて高速バスを利用したのですが思いの外快適でした。 東京上野ラインで東京へ行く場合、高崎始発なので座れるのですが、 やはり混んでいないのが本当にストレスがない。 今後早朝行く際には考慮に…

最近購入した美術書籍・その7

没後80年 高島北海展図録 長谷川等伯展図録 杜昆 ロック神たちの祝祭展図録 高島北海は南画がベースらしいですが割に画風は緻密でした。 地質学者でもあり、今の北朝鮮の金剛山に初めて登頂した日本人だそうです。 長谷川等伯は持っていたかなと思いましたが…

最近購入した美術書籍・その5

李華弌(Li Huayi) lihuayiarts.com 上海出身。 この人は10代後半が文革期に当たるため本来なら地方へ下放されるはずですが、 幸い上海に留まることができ、プロパガンダポスターなどの製作で やり過ごせたそうです。 水墨画と西洋絵画の両方を学んだようです…

2017年8月・台北 その4

ギャラリーに行く前に故宮博物院へ。 昨年の個展の際にはどこにも行けず、心残りでした。 www.npm.gov.tw 黄翡翠。いつ観ても「きんとん」に見える・・ 紀元前(戦国時代)にして既にこのクオリティ 展示品の写真撮影が全てOKになっていたため、 みんな撮影…

プライスコレクション 江戸絵画の美と生命 @仙台市博物館

www.city.sendai.jp 若冲を観に、初の仙台へ。 この後どこにも寄らずに帰ってしまったのですが、 青葉城くらい行っておけばよかった、と。