YOSHITO ISHII:ROTRINGER'S DIARY

日日是匍匐:時時跳躍

琉球 美の宝庫展図録

www.suntory.co.jp

 

 

琉球 美の宝庫展図録をゲットす。

2018年にサントリー美術館にて開催された同展覧会の図録です。

 

お目当ては中国絵画の孫億。

というか、琉球王国で受容されていた中国絵画見たさに

図録をわざわざ購入したと言っても過言ではない。

中国絵画の中でもマイナーで、

検索しても作品画像がなかなか出てこない絵師です。

 

 

 

yuagariart.com

鳳凰牡丹図 ©ColBase

花鳥図巻 この辺の作品を見ていると陳之佛等の民国工筆画と変わらない気がします ©ColBase

 

 

孫億は中国福州の絵師です。

琉球王国から清朝へと渡った絵師たちに中国絵画の描き方を手ほどきしたとか。

当時福建には琉球館なる琉球王国の出先機関があり、

琉球の絵師たちははそこに滞在しつつ中国の絵師から学んだのでせう。

あたかも長崎における、後年の沈南蘋のような。

この人の作品は中国でもほとんど現存しないようですが、

中国絵画では珍しい着彩の作品。

琉球王国の気風にあったのでしょうか。

 

 

 

 

 

北斎の琉球八景。

色々な資料を参考にして描いたであろう、

北斎の脳内イメージとしての琉球。

実際の琉球とは当然違うのでしょうが、

さりとて日本の風景とも違う。

もっとも、江戸絵画の大部分は「想像」です。

見たことのない龍虎鳳凰、行ったことのない名所、会ったことのない唐人物。

 

 

 

 

 

 

あこがれの祥啓

ch.kanagawa-museum.jp

 

 

あこがれの祥啓展図録

 

 

 

 

 

室町時代の画僧・祥啓の図録をゲットす。

正直、名前すら全然知らなかった人です。

鎌倉建長寺の僧で京都相国寺に度々滞在し、

当地にて中国絵画を学んだそう。

雪舟よりも一世代後の人らしい。

 

南宋画・元画の影響を感じさせます。

一見雪舟風ですが雪舟のような乱暴力はなく、より端正で実直な感じ。

模倣・贋作は日本美術・中国美術の常ですが、

「啓書記」といって彼のスタイルで描かれた後世の作品が随分あったようです。

影響的には「東の祥啓・西の雪舟」くらいの人らしい。

そんな絵師なのにすっかり忘れ去られてしまい、

生没年さえろくにわかっていないそうな。