リキッドスケープ 東南アジアの今を見る@アーツ前橋
ゲゲルボヨ(インドネシア)アートグループ。インドネシアにはなぜかグループが多い。
インドネシアの近現代史にまつわるインスタ。いきなり出てくるとんとんとんからりと隣組
ジャッガイ・シリブート(タイ) コロナ禍のマスクや防護服なんかを使ったテキスタイル作品。
テキスタイルもアジアの現代アートではよく見かける
東南アジアの若手作家によるグループ展。
そもそも、自分がアジアのアートに興味を持ったのは学生時代。
福岡アジア美術館の存在を知り観に行って以来強い興味を持ち、
それなりにアジアアートのいろんな展覧会を観てきました。
現代アートというものを本格的に知ったきっかけがアジアの現代アートから、
と言ってもよいかもしれません。
もはやアートは欧米中心に考えなくてよいという、
ある種の爽快感を当時は憶えたものでした。
当然のことながらアジアの現代アートといっても
国や民族、また世代によってもいろいろな作品が存在します。
ただ全般的に言えるのは、わりとどこの国・どの時代を通しても
政治的・社会的なテーマを扱った作品が多い傾向にある、ということ。
そこで作品の題材としてよく扱われているジェンダーやコロニアリズム、
フェミニズム・ナショナリズム・資本主義・民族・宗教・環境破壊等々の諸問題を
作品を通して初めて知り、それなりに学ぶことができました。
・・ですからなんとなくこういった展覧会の作品内容の予想はつくのですが。
ちょっと辛口なことを言わせてもらうと、
あまりにも自分の想像通りすぎたというか、
正直、意外性を感じられないというか。
言うほど「今」という感じを受けませんでした。
というよりも、ステレオタイプ感が否めません。
東南アジアのアート=アクティビズム、以上終わり。
はいこれは〇〇のメタファーね、これはこういう意味ね、
と記号的に解釈してゆくだけのアート。
現代アートなんて大体がそんな感じではあるんですが、
どういうわけだか今回は「またこういう作品か・・」と、
なんとなく退屈してしまう自分がいました。
メッチ・チョーレイ + メッチ・スレイラス(カンボジア)姉妹ユニットらしい。妊娠・出産というテーマ。
泥(土)=新たな命。豊穣さを育む泥
アジアの現代アート=植民地主義の反省・歴史の再構築・
ジェンダー・フェミニズム・多様性・最先端技術・気候変動・・
(近年はここに「移民」や「難民」が加わるでしょう)
という「おなじみの」キーワードで全て説明がついてしまう感じ。
勿論、そういった社会活動的な芸術表現が悪いわけではありません。
とりわけ日本人が直視したくないような、他のアジア諸国との過去の歴史の問題や
ジェンダーギャップ指数が極端に低い日本の現状など、
アート作品を通して考えることは大切なことです。
カウィータ・ヴァタナジャンクール(タイ) 頭でソムタムを作り顔で食器を洗い、
蜘蛛のように編み物をする。家事労働とジェンダー・・言わんとするところは分かるけどさ。
とはいえ前述の通り、この展示に限らずアジア・
とりわけ東南アジアの現代アートというと、
どうにもこういったアクティビズム的な作品が目立つ傾向があります。
一種のエリート主義というか。
実はそれ自体が既にひとつのステレオタイプになってしまっているのでは、と
今回の展示を観て改めて感じたことでした。
社会問題的なキーワードを当てはめて、答え合わせのように理解するアート作品の
ありかたと、アジアの現代アート=アクティビズム、というステレオタイプ。
それはもはや、どうなのか。
諸問題は全然解決されていない、むしろ「今」はさらに悪くなっている、
と言われてしまえばそれまでですが。
コラクリット・アルナーノンチャイ(タイ)今回最も印象深かったのがこれ。
シャーマニズム・海・炎・ドラゴン・生き物の進化、等々・・