幕末狩野派
幕末狩野派
2018年静岡県立美術館で開催された展覧会の図録です。
一見して爛熟だなあと感じます。
おなじみの狩野一信も冷泉為恭もいいけど狩野永岳。
四季耕作図、横長のやまと絵なんだけど描かれているのが漢画風の岩山、
っていうのがおもしろい。
この人は京狩野ですが京狩野は江戸狩野の傍系な位置づけで、
であるがゆえに?たまに面白い絵師が出てきます。
こういう豊穣が徳川幕府の消滅と共に途絶えちゃったのが勿体ない。
土方稲嶺
まず一見して応挙的、
そして中華風の筆致・すなわち南蘋派。
ペン画みたいに細かい線で緻密に描いてゆくタイプ。
この人の描く動物はなにか液体が毛皮を纏って擬態しているみたいで
気持ちわりぃ(褒めている)。
ちょっとデロリ的でもありますね。
稲嶺は鳥取藩のお抱え絵師だったそう。
鳥取藩のお抱え絵師というと沖一峨という絵師がいますがこの沖氏という家が
世襲だったらしい。
この世襲を覆す形で抜擢されたのが稲嶺だったそうな。
こういう絵師をちゃんと評価できる殿様がいたということでしょうか。