YOSHITO ISHII:ROTRINGER'S DIARY

日日是匍匐:時時跳躍

春風亭一之輔独演会@葡萄屋寄席

 

 

春風亭一之輔独演会@葡萄屋寄席

 

 

www.ichinosuke-en.com

www.budoya.net

 

 

 

「めがね泥」「ふぐ鍋」「うどん屋」。

マクラで「余白」ということを仰っていたが

「うどん屋」って、なんとなく余白的な噺である。

 

笑いどころは少ない。

冬の夜、屋台のうどん屋が酔っ払いにからまれ住人に売り声を注意され、

それから大店の奉公人にうどんを一杯売るという、ただそれだけの噺。

それぞれの小噺に関連はない、オムニバス的。

後半はうどん屋と奉公人の小声でのやりとりがあり、

うどんを啜る描写があっておしまい。

 

 

この噺は冬の夜の静けさ、空気感を描く噺であると思う。

絡んでくる酔っぱらいのくどさやうどんを啜る描写、

売り手と買い手の小声でのやりとりなどは

冬の夜の静けさ寂しさを強調する要素に過ぎず、

それらが深い暗闇にぽっと現れては夜の静けさに吸い込まれる。

そういうお吸い物みたいな噺である。