YOSHITO ISHII:ROTRINGER'S DIARY

日日是匍匐:時時跳躍

最近購入した美術書籍・その19

 

 

最近購入せし美術書籍。

絵金・佐伯祐三展図録・大竹伸朗「銅の時代」

 

 

www.ekingura.com

 

絵金は幕末土佐の絵師です。

若い頃は京都に出て狩野派に師事していたそうですが

何やらトラブルに遭い、故郷に戻って芝居絵を描いていた人。

 

 

芝居絵、すなわち浮世絵同様に歌舞伎のワンシーンを描いた絵画ですが、

特筆すべきはその嗜虐性です。鮮血が飛び散ったり内臓が出ちゃったり。

時代の不穏さをも想像させます。日本美術には珍しく人物のプロポーションもよい。

 

大竹伸朗・銅の時代

www.ohtakeshinro.com

 

大竹伸朗という作家の作品集はその膨大な仕事量を反映して

作品集も大変な数あります。すべてを所持しているのはよほどのファンでしょう。

自分は彼の作品のすべてが好きなわけではないのですが

今回購入しましたのがこの「銅の時代」。エッチング集です。

エッチングとは銅版画の表現技法のひとつで、

銅板に薄く引かれたタールの膜をニードルで削り取って線を描き、

それを腐食液で腐食させて溝を作り

(タールを削られた部分が腐食されて溝になる)

そこにインクを埋め込んで紙にプレスする、というもの。

線がダイレクトに表現されているという点では

単純にドローイング集といってもいいかもしれません。

こんな感じのサイ・トゥオンブリーのような、線が散らかった感じの

ドローイングは近年の若い作家ではあまり見受けられません。