最近購入せし美術書籍。
絵金・佐伯祐三展図録・大竹伸朗「銅の時代」
絵金は幕末土佐の絵師です。
若い頃は京都に出て狩野派に師事していたそうですが
何やらトラブルに遭い、故郷に戻って芝居絵を描いていた人。
芝居絵、すなわち浮世絵同様に歌舞伎のワンシーンを描いた絵画ですが、
特筆すべきはその嗜虐性です。鮮血が飛び散ったり内臓が出ちゃったり。
時代の不穏さをも想像させます。日本美術には珍しく人物のプロポーションもよい。
大竹伸朗・銅の時代
大竹伸朗という作家の作品集はその膨大な仕事量を反映して
作品集も大変な数あります。すべてを所持しているのはよほどのファンでしょう。
自分は彼の作品のすべてが好きなわけではないのですが
今回購入しましたのがこの「銅の時代」。エッチング集です。
エッチングとは銅版画の表現技法のひとつで、
銅板に薄く引かれたタールの膜をニードルで削り取って線を描き、
それを腐食液で腐食させて溝を作り
(タールを削られた部分が腐食されて溝になる)
そこにインクを埋め込んで紙にプレスする、というもの。
線がダイレクトに表現されているという点では
単純にドローイング集といってもいいかもしれません。
こんな感じのサイ・トゥオンブリーのような、線が散らかった感じの
ドローイングは近年の若い作家ではあまり見受けられません。