フランシス・ベーコン。
言わずと知れたイギリス、というよりも20世紀を代表する画家です。
捻じれて歪んだ、原形をとどめていない人物像。
三幅対などのキリスト教美術を現代風に参照したスタイル。
モチーフの人物像、或いは肉塊は事故現場の遺体のように一見して痛ましく、
而して真空空間に閉じ込められたような、
なんならおかしみさえ感じさせる作風です。
彼の書籍は日本語訳の解説文がついた「フランシス・ベイコンのパッション」と
インタビュー集「肉への慈悲」を持っていましたが、
今回彼が制作の参考に使っていた写真資料をまとめた「INCUNABULA」を
購入したついでに、ひとつ集大成的な作品集も持っておくべきだろうと思い
イギリスの出版社・ACC ART BOOKSが出している「FRANCIS BACON」も
手に入れました。
屠殺や食肉の写真に
なんとウォーホルも(意識していたんでしょうか)
自作の写真も。個人的にはハイム・スーチンの作品写真があったことが嬉しい
資料写真、どれも絵具や指紋がついていて生々しい。
制作しつつ観ていた様子が窺われます。
汚部屋で有名なベーコンのアトリエですが、
これらの資料も軒並み破かれた状態で切り抜かれていて
彼の性格が偲ばれます。