葡萄屋寄席@高崎シティギャラリー

二席ずつかなと思ったら長講一席ずつ。
白酒師が「抜け雀」・菊之丞師が「寝床」。
「親を駕籠かきにした」というサゲなのですが、
駕籠かきではなかった(既に思い出せない)。
例によってのさりげない空耳アワーです。
義太夫歌いたがりの旦那のツンデレを楽しむ「寝床」。
この噺、旦那に一抹の寂しさ・かわいらしさを漂わせるところがいいんでしょうな。
そうでないと単に理不尽な旦那がジャイアンリサイタルできなくて
ゴネてるだけの噺になってしまう。
落語には主人公がひどい目に遭う噺・怒って拗ねる噺がいくつかあります。
「寝床」もそうだし「鰻の幇間」もそう。「笠碁」もこれに近いか。
思うに鰻の幇間にしろ寝床にしろ、
ひどい目に遭っている当人を笑っているのではなくて
「見えない背景」が面白いのです。
見えない仲居や見えない長屋の住人。
あんたらどんな顔してそういうことやってんの、って
見えない彼らの挙動を想像して笑ってしまう。
こういった噺の主人公は一見うるさく見えて
そういう周囲の異常性と客席を介在する存在であり。
