新美術館&森美術館にて、
ジャコメッティ展とサンシャワー:東南アジアの現代美術展を観ました。
ジャコメッティ展|企画展|展示会|国立新美術館 THE NATIONAL ART CENTER, TOKYO
ジャコメッティ。
ジャコメッティは彫刻よりも絵画作品の方が良いよね、とずっと思っていました。
彼が制作上かけたであろう膨大な作業の痕跡が、彫刻では正直分かりにくいよね、と。
ですが今回彫刻を実際に観て、その認識を大いに改めさせられました。
単なる手数の多さなんて問題ではない、彫刻としての存在感。
絶対的な幾何形体(キューブ)の作品を作りつつも、
そこから人物像へと向かう勇気。
そして至った、寄る辺なく、頼りない人物像。
でも確かに一個の存在として、そこに立っている。
ジャコメッティ展の感動の余韻を残しつつ、
サンシャワー展へ。これがちょっと失敗・・
ワサン・シッティケート(タイ) アグス・スワゲ(インドネシア)
お下品な作風で有名なワサン。
シンガポールはマレーシアから独立していなかった!?という作品
ヘリ・ドノ(インドネシア) インドネシアの大御所
色は賑やか・音は涼しげ、な作品
何かを観て得られた感動が、そのまま別のものにも適応される、
という事はありません。
ひとつの作品の感動のお裾分けで他の作品を観ることは、誠実な態度ではありません。
アジアのアートには政治的・社会的なものを扱った作品が非常に多いです。
特にこの展覧会ではそういった作品を特化して集めた感があって、
政治・社会・国家・民族・それにまつわるアイデンティティの葛藤・・
そういう「公」のテーマを扱った作品がほとんどでした。
ジャコメッティ作品にある普遍性に感動した後では、
こういった作品は、なかなかうまく観ることができませんでした。
なにより、空間に対して作品が多すぎた。
この日はジャコメッティの感動を大事にして、
それ以上何かを観るべきではなかったなあ、と。