YOSHITO ISHII:ROTRINGER'S DIARY

日日是匍匐:時時跳躍

美術書籍/ART BOOK

「清水晃-光る、闇-」展

ツイッターで清水晃に関するツイートが流れてきたので、 20年前の三鷹市美術ギャラリーでの彼の回顧展「清水晃-光る、闇-」で 購入した図録を掘り起こし。 清水晃は読売アンデパンダンから出てきた「反芸術」の作家です。 暗黒舞踏の土方巽の舞台美術も手…

Geschätzte Tiere Valued Animals :Nicole Schuck

www.nicoleschuck.de Nicole Schuck。ドイツの作家です。 Geschätzte Tiere-ドイツ語で大切な動物たち、という意味。 動物の巨大なドローイングに地図の道筋が重ねられている作品。 単なるドローイングということではなくて ある特定の地域に生息する動物に…

最近購入した美術書籍・その16

www.phaidon.com イギリスの美術出版社・PHAIDONが出版しているVITAMINシリーズ。 VITAMIN D3。ドローイング作品集です。 VITAMIN P(絵画)やVITAMIN C(クレイ&セラミック)などもあります。 ドローイング、といっても日本人の好みそうなイラスト系や写実系は …

最近購入した美術書籍・その15

tomiokoyamagallery.com 日高理恵子作品集 1979-2017 木を下から見上げた構図で描き続けてきた作家です。 一貫して鉛筆画。そして正方形の画面の多さ。 木そのものを描く、というより枝葉を使った絵画づくり、といった印象。 www.kellybeeman.com ケリー・ビ…

鄭乃珖

鄭乃珖(郑乃珖) 民国期から現代にかけて活躍した人です。 非常にユニークな画家で、 工筆画ですが溌墨を使いまくる。 描くモチーフもイセエビやカブトガニなどの甲殻類、貝類、魚や野菜、 鶏肉(生きている鶏ではない)、つまり食材をやたらと描く人。 殷周の…

于非闇ふたたび

中国近現代画家・于非闇画集 薄い画集だけでは飽き足らず、淘宝にて購入してしまいました。 やはり良い作家です、が、明らかに実験的な作品も。 こういう人にも試行錯誤があったのかなと、ちょっと身近に感じます。 若い頃は山水画も描いていますが後年は専…

陳少梅

陳少梅(陈少梅)絵画全集 この人も民国期の画家です。 1909年生まれで太宰と同い年。 南方らしい、端正な筆致と階調。 中国の画家にとって古典の模写は欠かせないそうですが、 この時代は革命のごたごたで故宮の宝物は四川に移され、 観ることができませんで…

喩継高

喩継高画集 彼の画風は率直に言って特徴が捉えにくかったのですが, かなり水彩寄りの工筆画、という印象を受けます。 枝を描く時に輪郭線を描かず没骨や溌墨で表現しています。 線を節約した,水彩に近い表現。 よく観ると蓮の葉一枚一枚にまで溌墨法で描か…

星野美智子全版画集・内容と技法の関係

星野美智子全版画集 www.yanagi.com リトグラフと写真製版、あとCGも。 ボルヘスというアルゼンチンの小説家の小説から着想を得た作品だそうです。 生憎不勉強で名前さえ知りません。マジックリアリズム、だそうな。 (ガルシア・マルケスとかそのへんらしい…

南宋四大家絵画精品集

南宋の四大家と呼ばれる画家たちの作品集。 李唐・劉松年・馬遠・夏圭。 北宋南宋通じて宋代の水墨画は中国絵画の原点と呼ばれ、 崇拝に近い扱いを受けているようです。 中国の古典絵画は各絵師ごとの作品集を出せるほど作品が現存していないため、 抱き合わ…

現代工筆画・高茜

画境・高茜工笔花鸟画探微 いかにも工筆画の新世代といった風情。 余白の多い構図とシンプルなモチーフ・静謐で淡い色彩に、少し性愛の香りが漂う。 この「画境」シリーズ、若い作家を扱っていていいんだけど、 版の大きさ(B4くらいある)に対して超薄いので、…

陳洪綬

陳洪綬(陈洪绶) 工筆画のつもりで購入したら、 豈はからんや文人画でした。 花鳥はともかく、人物画のこのユルさ。 でもちょっとアウトサイダーアートっぽくて、 線ものびやか。白隠にもちょっと似ています。 いい味わいがあります。 ご本人は画工としてしか…

現代工筆画・蘇小松

蘇小松(苏小松) suxiaosong.artron.net twgreatdaily.com 自筆のサイン入りでした。根源師傳淑心、かな。 1964年生まれ、生粋の上海人。 新海派(新海上画派)の領袖、などと紹介されています。 清末に新興都市の上海を中心に出てきた芸術潮流を海上画派とい…

現代工筆画・沈寧

沈寧(沈宁) 全て絹本着色。超絶的に巧いのは勿論ですが問題は内容です。 穏当な作品の影に、かなり性的な作品も(検索すると百合まで出てくる)。 観る人によってはちょっと嫌悪感を催しそうな作品も。 描かれた動物たちは性的な欲望の象徴でしょう。 驚くべ…

韓国単色画 チョン・チャンソプ

チョン・チャンソプ (丁昌燮,Chung Chang-Sup,정창섭) 昔の中国の次は現代韓国。韓国単色画。 70年代の韓国で出てきた画風です。 単色画は欧米でも人気が高いらしく、 個人の作品集がずいぶん出ています。 確かにホワイトキューブに展示するなら こういう…

浙派両頭

袁派の次は浙派。 明代の職業画家中心の画派です。 戴進・呉偉。これもいい。 どこの国でも時代が降るにつれて 技術はより洗練され、成熟を観ます。 それと引き換えに黎明期の新鮮さや素朴さは失われる。 日本でも江戸より室町の水墨画の方が あっさり目で質…

袁派両頭

清代の画家 袁江・袁耀の画集 袁派です。 明の浙派・清の袁派。 袁派とは清の時代に江南の揚州で活躍した、袁氏一族を中心とした画派です。 見ての通り、宋代の宮廷絵画・院体画(李郭派)のスタイルを引き継ぐ 正統的で緻密な筆致ながら、ダイナミックな作…

郎世寧・仙蕚長春図

郎世寧の仙蕚長春図です。 書籍というよりほとんど冊子。 横長の紙に印刷されて織り込まれている装丁です。 例によって乾隆帝の印がでかでかと押されています。 故宮博物院あるある。

陳之佛・于非闇

陳之佛と于非闇の画集を購入。 どちらも民国期の画家。 特にこの于非闇の作風が、 ベースは工筆画(中国絵画における緻密に描く技法)ですが、 南画あり水墨あり郎世寧風の陰影描写ありで幅広い。 そして賛が全て痩金体。これが超かっこいい。 この人の美意…

山口小夜子 未来を着る人

「山口小夜子 未来を着る人」展図録 yamaguchisayoko.com 前髪ぱっつんの黒髪ロング・切れ長を強調するアイライン。 当時の流行を逆手にとった「日本らしさ」。 (実際は大正期のモガあたりが元祖でしょうけど)。 こういったアジア的なステレオタイプ(必ず…

Adrian Ghenie

エイドリアン・ガーニー www.pacegallery.com 現代のF・ベーコンともいうべき画家。 キャンバスにコラージュし、その上から油彩で描いています。 Hatje Cantzから同じ装丁の作品集が二冊出ていますが 一冊目の作風の方がコラージュの断片が残されているのに…

最近購入した美術書籍・その14

別冊太陽・岩佐又兵衛 ヴォルフガング・ライプ 藤林叡三 エイドリアン・ガーニー 岡原大崋氏の著作数点 岡原氏の著作は指導書ばかりでご本人の作品集がありません。 ネット上のインタビューなど拝見しますと どうやら後進の育成に力を注いでおられるようで …

旅する日本画 士農力作品集

kanabee.com まず名前がユニークだ。 この人の名前で検索すると農業関係の記事も一緒に出てくる。 暗い下地に白い線(多分日本画の胡粉であろう)でビル群を描いています。 「旅する」と題していますが、率直に言って 各都市の個性や喧噪は作品からは殆ど感…

現代彫刻アンソロジー

現代彫刻アンソロジー。 掲載作品は殆どが木彫で後は金彫とミクストメディア。 日本では古来彫刻といえば木彫が中心で他は鋳造した仏像などが主ですが、 21世紀の現代でも特に木彫の良品が目立つことが不思議です。 木彫・具象、そして動物をモチーフにした…

最近購入した美術書籍・その13

久々にまとめ買いしました。 直接的に自作に影響せずとも、インプットが必要です。 欲するものがあります。 現代彫刻アンソロジー 旅する日本画 士農力作品集 別冊太陽 雪舟決定版 日本美術の底力

最近購入した美術書籍・その12

THE UPSET YOUNG CONTEMPORARY ART 2008年に出版された作品集です。 あの当時流行った(?)ダークファンタジー系の具象絵画ばかり。 暗くて毒々しい作品が多く、観ていてちょっとくたびれます。 もうちょっと変化が欲しいかな。 オリオン 深井克美 全画業 …

最近購入した美術書籍・その11

佃弘樹と尹亨根(ユン・ヒョンクン) 韓国抽象画の巨匠と日本の若手。 佃氏の作品は六本木クロッシングでも拝見しました。 もの派、特に李禹煥に共感するという佃氏。 具体的な建築物の画像をコラージュしているのですが 全然具体性というか物語性が感じられ…

最近購入した美術書籍・その10

遠出ができない状態なので、代わりに美術書籍を買うことで代替えしています。 狩野派や室町時代の水墨画。 雅邦の師である狩野養信に興味が湧きました。 検索するとさまざまな画風で描いてきたことが分かります。 大和絵あり水墨あり、 当時の中国絵画である…

最近購入した美術書籍・その9

最近購入した画集。 個人的に、絶対に観なきゃいけないんだけど まだ観ていない作家たち、という存在があります。 小谷元彦さんもその一人。 phantom-limb.com 作品を「亡霊」と呼ぶ、その“亡霊”という言葉の意味。 骨やはく製など具体的なモチーフを使いつ…

最近購入した美術書籍・その8

マシュー・バーニー「拘束のドローイング」 もう10年以上前の映像作品ですが、ずうっと気になってはいたものの、 何故か今まで手を付けませんでした。すごく良い。 「沈黙ーサイレンスー」を最近観たせいか、作品のイメージがより際立つ。 ”鯨”であるところ…