モノトーン気味の画面に赤。私の好きな配色です
菊池芳文。明治末期の京都の日本画家です。
幸野楳嶺の弟子で四条派の伝統を受け継ぎつつ、
同世代の竹内栖鳳同様(芳文が二歳年上)西洋由来の写生を取り入れた画家。
55歳という若さで亡くなってしまったため、栖鳳ほど知名度はありません。
個人的には栖鳳より四条派の影響を留めていて全然こちらが好きです。
京都市立絵画専門学校(現京都市立芸術大学)で教鞭を執っていたそう。
まだ失われていなかった頃の四条派の線描と、顔料の近代的な発色の良さ。
モノトーン気味の画面に赤。私の好きな配色です
菊池芳文。明治末期の京都の日本画家です。
幸野楳嶺の弟子で四条派の伝統を受け継ぎつつ、
同世代の竹内栖鳳同様(芳文が二歳年上)西洋由来の写生を取り入れた画家。
55歳という若さで亡くなってしまったため、栖鳳ほど知名度はありません。
個人的には栖鳳より四条派の影響を留めていて全然こちらが好きです。
京都市立絵画専門学校(現京都市立芸術大学)で教鞭を執っていたそう。
まだ失われていなかった頃の四条派の線描と、顔料の近代的な発色の良さ。
中食に注文した蛙の炒め物が出てくるのが遅く(美味しかったけどさ)、
また4件目でさすがに疲れもあり、駆け足になってしまいました。
展示数も多いというに・・大家に対して失礼な鑑賞態度です。
マティスって、自分がドローイングを集中的に描くようになって、
ようやく凄さが分かるようなところがある。
さらっと描いてるようにみえて、
こんなんさらっと描けますかいな、というような。
虫めづる日本の人々@サントリー美術館
四季草花虫図 市川其融 江戸時代
個人的に興味深かったのが「草虫図の受容」の章。
中国絵画好きとしてはやはり目が行きます。
宋元や明代に描かれた「草虫図」という画題を
日本の画人がどう受容し、自分たちのものとしていったか。
作品比較などを通してわかりやすく展示されています。
日本の昆虫画にはこの中国の草虫画の影響や
西洋由来の博物画の影響があるといわれています。
竹虫図 伝趙昌 南宋 東山御物。笹の葉の描写など、思いの外繊細でした
草虫図 呂敬甫 明
この辺の中国絵画など観ていると、ツタのうねり方や切れ味のよい笹の葉など、
実に若冲を感じます。相国寺なんかでこういう中国絵画を彼も観ていたのでせうか。
中国における草虫画は縁起物の意を込めたものだったそうです。
たとえば中国皇帝の冕冠(簾のついている冠)には再生の象徴として
蝉の装飾があしらわれていたそうですが、そういうイデオロギーなしには
虫などという「とるにたらぬもの」を中国の人々は描き得なかったのかな、とか。
それはそれで中国っぽいな、とも思うのですが。
和歌の歌題として、或いは単に知的好奇心から虫を描いていたであろう
日本の素朴さとの違いなど、専門家ならずともあれこれ想像が膨らみます。
松本交山という画人の「百蝶図」が出色でした。
富裕の町人(深川の茶屋の主人だったらしい)で家督を弟に譲り、
酒井抱一に師事したそうです。俳諧や絵を嗜み80過ぎ迄生きたとか。
若冲とも共通点が多い。
百蝶図 松本交山 波間にたゆたふ色とりどりのてふてふ
草花群虫図 狩野伊川院英信 江戸時代
群蝶図 岸岱 江戸時代
虫がどうこうというより中国絵画と江戸絵画の関係性に
つい興味が向いてしまいます。
こういう文化の受容の流れが分かる展示、もっとやるべきと感じます。
江戸絵画が何に影響を受け、どういう風に形成されてきたのか。
日本美術における虫というテーマを、単に「日本人は細かい表現が得意」とか
「他国に比べ虫に興味を向ける日本人」のような自己完結的な文脈のみに
落とし込むことなく提示できている点において、豊かな展示となっています。