YOSHITO ISHII:ROTRINGER'S DIARY

日日是匍匐:時時跳躍

最近購入した美術書籍・その19

 

 

最近購入せし美術書籍。

絵金・佐伯祐三展図録・大竹伸朗「銅の時代」

 

 

www.ekingura.com

 

絵金は幕末土佐の絵師です。

若い頃は京都に出て狩野派に師事していたそうですが

何やらトラブルに遭い、故郷に戻って芝居絵を描いていた人。

 

 

芝居絵、すなわち浮世絵同様に歌舞伎のワンシーンを描いた絵画ですが、

特筆すべきはその嗜虐性です。鮮血が飛び散ったり内臓が出ちゃったり。

時代の不穏さをも想像させます。日本美術には珍しく人物のプロポーションもよい。

 

大竹伸朗・銅の時代

www.ohtakeshinro.com

 

大竹伸朗という作家の作品集はその膨大な仕事量を反映して

作品集も大変な数あります。すべてを所持しているのはよほどのファンでしょう。

自分は彼の作品のすべてが好きなわけではないのですが

今回購入しましたのがこの「銅の時代」。エッチング集です。

エッチングとは銅版画の表現技法のひとつで、

銅板に薄く引かれたタールの膜をニードルで削り取って線を描き、

それを腐食液で腐食させて溝を作り

(タールを削られた部分が腐食されて溝になる)

そこにインクを埋め込んで紙にプレスする、というもの。

線がダイレクトに表現されているという点では

単純にドローイング集といってもいいかもしれません。

こんな感じのサイ・トゥオンブリーのような、線が散らかった感じの

ドローイングは近年の若い作家ではあまり見受けられません。

 

 

 

初春の東京 ART TOUR 2023 その2

 

 

佐伯祐三ー自画像としての風景@東京ステーションギャラリー

 

 

https://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/202211_saeki.html

 

セザンヌに影響受けまくりな若き佐伯氏

 

佐伯の自画像といえばやはりこれ。一体どんな思いでこんな絵を描いたのか

 

 

絵を描く者の端くれとして

作品を観ていて非常に胸に迫るものがありました。

佐伯はシーレとほぼ同世代です(シーレが8歳年上)。

彼の代名詞ともいえる、パリの街角のポスター。

 

 

 

 

 

パリのごつごつした壁面に乱れ飛ぶポスターの文字の描線。

このかっこいい様式をせっかく手に入れたのに

佐伯は晩年にあえてそれを捨てようとします。

 

マンネリ化してしまうことが怖かったんだろうか。

そこに安住する自分を戒めたかったのかな。

そんなに思い詰めなくていいんだよ佐伯君、って肩を叩いてやりたい。

死期が迫っていてそれどころではなかったのでしょうけど。

 

 

 

 

ミュージアムショップのグッズにはなぜだか郵便配達夫のグッズが多かったです。

おじさん自分が100年後の日本でグッズ展開されてるとは努思うまい。