YOSHITO ISHII:ROTRINGER'S DIARY

日日是匍匐:時時跳躍

久々東京

昨日久々に東京に参りまして。

トーハクで等伯(松林図)と新美術館で池田学を観て、
鈴本演芸場でキョンキョンを聴きました。


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松林図‥は思ったよりもことのほか小さく、あまり迫力がなかった。3Mくらいあれば良いのになあ。



むしろ火炎土器の方が良かった。




それより思いがけず狩野一信の羅漢を観られたのが収穫だった(でも小さいのね)。






その後六本木に移動し、新美術館の「DOMANI・明日」展を見る。
実に居心地の良い展示空間なりき。若い作家の力作がずらっと。
ペン画描きとして、お目当ては勿論池田学氏だったのだが、
小尾修氏のかっちりした油彩画に魅かれる。
古典的な仕事を妥協なく、まっすぐやっている印象。
あんなハイレベルなレンブラントの模写を見られるとは思いませんでした。



んで、池田氏。
この方の作品世界には実に、ジブリの香りが、かなり濃厚にする。
全体像は考えずに描いているとどこかで仰っていましたが、多分嘘ですね。
計画的に描かなきゃあんな描写の粗密をコントロールできますかいな。

なんにせよ彼の作品を観て(彼の作品の凄さとは別に)、わたくしはやはり、極力ハッチングはしないようにしようと思った。
細密的な作品にハッチングはつきものですが、俺が自分の作品の中で、それを敢えてやる必要はないような気がする。
なんだか空間を一生懸命つぶしている感じがして、
自分ではやるべき手法ではないことを再確認。


それにつけても館内は常夏張りの暑さであった。
暑かったぁ・・



会田誠展はスルーして上野に戻り、再度トーハクに入って、円空を観た後、鈴本へ。
一時間くらい待つ(鈴本って、芸人さんも普通に正面入り口から入ってゆくんですね)。



番組は以下の通り。


林家木りん「金明竹」:口上はともかく、人物描写がね・・

柳家さん弥「雑俳」:メタ描写といい本題の入り方といい、兄弟子の影響なんだろうか。

奇術 マギー隆司:ほぼ漫談。手品らしい手品なし。いいんでせうか。

柳亭左龍「棒鱈」:さん喬師匠のものまねに吹く。きょんきょんが師匠の井戸の茶碗にケチ付けたって本当なんだろうか。クロケットヌードルソングの歌詞の内容とも合致するが・・

柳家さん生「亀田鵬斎」:日芸の落研で「天狗捌き」を聴いて、生の落語の楽しさを教えてくれた、それ以来だ(何気に日芸の落研て大物揃いなのね・・志らくに高田文夫にこのさん生師匠に、そこへ弟子入りした柳家わさびこと宮崎君に三遊亭白鳥・・は剛柔流でしごかれていたんだっけ)。抜群の安定感。でも大名なら、直接本人(亀田)呼んで「おでん 燗酒」と書かせりゃいいのにと思うのは俺だけだろうか。

漫才 すず風にゃん子金魚:ちょっと昨日のはなー・・。にゃん子さんのツッコミに険があったし、金魚さんの悪ノリも空回り気味だったような。

林家彦いち「掛け声指南」:思えば初めての生の落語が、学校公演で聴いたこの人の「初天神」だった。その時はその後出てきた一朝師の「子ほめ」が面白くて、あまり印象になかったのだが、この人ってこんなに面白かったのか、と。出てきて早々、外に出ていく客(始まる前に出ろよ)をいじる。途中客席で携帯が鳴るも(馬鹿野郎め)とっさにムアンチャイを使って切り返す。流石。そして確かに柳家小三治の代演で三遊亭白鳥、は誰も納得しないでせう。

「噺の方に出てくる人物と申しますと大体相場が決まっておりまして、くまさんはっつぁん横丁の御隠居、人の良いのが仁兵衛さん、馬鹿で与太郎、一生懸命なのがムアンチャイ」ってそんなわけないじゃん。

桃月庵白酒「天災」:この方は毒舌がうまいらしいのですが、それはきっと独演会での事、なんだろう。寄席で何回聴いていてもそんなに毒舌ではない。しれっと毒を挟むような。

粋曲 柳家小菊:箸休め。風情あり。

講談 宝井琴調「徂徠豆腐」:講談は初聴ですが、このネタは実際もっと詳細にやるネタなのでせう。釈台のひっぱたき方にも強弱があるんですね。

漫才 ホームラン:寄席で聴いたことのある漫才の中では、この二人が一番好きだ。

柳家喬太郎「竹の水仙」:桂枝雀張りのハードアクション。「お前は柳家権太楼かッ!」が聴けて嬉しかった。でも土曜の喬太郎主任でも、後ろの方の席が結構空いていたんだよな・・勿体ない。




その後アメ横でタイ料理を食らい、至福の一日だったわけですが、帰りの車内でまんまと寝込んで乗り過ごし、前橋からタクシーで高崎まで帰りましたとさ。