EXTRA ART 2の展示風景です。
GWの麗らかな初日、久々に千葉、そして東京へ
徳川政権が江戸にあり、新都市・江戸で町人文化が花開いていたとはいえ、
江戸300年を通じて文化の中心はいまだ京都を中心とした西日本にありました。
浮世絵(これとて近現代の評価に過ぎませんが)を除けば
江戸絵画もやはり、西高東低の印象を受けます。
印象に残った絵師たちなど。
織田瑟瑟。
織田信長の子孫で尾張の女性絵師です。
桜ばかり描いていたそうで、当地では「織田桜」と称されているそうです。
田中訥言。
この人も尾張の絵師です。
「若竹鶺鴒図屏風」。
銀箔の背景に、画面を二分割するように
若竹が配置され鶺鴒が上下にいます。
筆線の繊細さにしばし目を奪われました。
「復興大和絵」と称し、
かつての平安の大和絵の復興を目指しましたが、
失明の後、舌を噛み切って自死したとのこと。
これほどの描線を引ける絵師にとっての失明、
如何ばかりであったか・・
春好斎北洲。
葛飾北斎の門人にして浪速っ子。
北斎来阪の折に教えを乞うたそうです(諸説あり)。
師弟説が本当なら、
べらんめえの北斎とコテコテの大阪弁の北洲のやりとりが
あったのでしょうか。
線が固く生真面目な印象。
上方浮世絵界を牽引する存在だったとか。
紀楳亭。
近江の画人・俳人で与謝蕪村の弟子です。
さすが蕪村の弟子というか、
よくぞこんなヘタウマでかわいい作品を残してくれた、と言いたくなります。
蕪村は弟子達にも決して権威的でない、フレンドリーな接し方をしていたそうですが
そんな和やかな雰囲気が伝わってきそうです。
きりがないのでこの辺で。
他にも沖一峨や渡辺広輝、守住貫魚、山本梅逸等々・・
西日本が充実していると前述しましたが、
特に尾張の充実ぶりが印象的でした。
現代でも愛知で学んだ後に活躍している作家は多く、
関東に住まう人間にとっては意外に見えていないのが愛知かも知れません。
後はやはり、蕭白の襖絵と応挙の屏風の競演。というか対決。
心憎い構成です。
上野へ
例によって混雑しているかなと思っていましたが全然でした。
前半は平安期の作品が多く、個人的にはあまりそそられません・・。
やはりこの人でしょう。
そして鈴本演芸場。春風亭一之輔。
この日は「百年目」。
上方から江戸へ伝えられた人情噺です。
商家の厳格な番頭が陰で舟遊びしてどんちゃん騒ぎしている所を
偶然店の旦那に見つかってしまい、
翌朝呼ばれて顔面蒼白で旦那の部屋に行ってみたら・・という噺。
4時間近くある寄席のトリで、
この「百年目」が出てくると個人的には我慢大会になってしまうのですが
(長いし人情噺であんまり笑うところがないしなにより尻が痛い)
クスグリがたっぷり入った、からっとした一之輔師らしい噺に仕上がっていました。
番頭が悪夢にうなされる場面のイリュージョンなど、流石のうまさ。
この人はいつでもこちらの予想を超えてきます。
そしてこの噺は人情一辺倒でしみじみと演るよりも、
このくらいのバランスの方が、特に若いファンには良いのかなと思います。
そんなわけで充実した休日でありました。